クレンペラーは、トスカニーニ、メンゲルベルク、ワルター、ストコフスキー、クナッパーツブッシュ、フルトヴェングラー、モントゥー、シューリヒト、ベーム、セル、ムラヴィンスキーらに並ぶ、20世紀最高の指揮者です。バッハ、ベートーヴェン、ブラームスが特に素晴らしく、もちろんモーツァルトとワーグナーのオペラ、ブルックナーも得意でした。

ブラームス交響曲全集
オットー・クレンペラー 指揮
フィルハーモニア管弦楽団
録音 ロンドン、1955年〜57年、

オットー・クレンペラー (1885〜1973)は、前世紀最高の巨匠のひとり。シンフォニーとオペラ、両方に精通した指揮者・作曲家でもありました。
クレンペラーは、生前よく「作曲をする指揮者と指揮をするだけの指揮者とは、はっきり区別しておきたい違いがあります」と語りました。ワーグナーを筆頭にワインガルトナー、ワルター、クレンペラー、フルトヴェングラー、セル、バーンスタイン、ブーレーズらが「作曲をする指揮者」。他方「指揮をするだけの指揮者」にはニキシュ、トスカニーニ、カラヤンらが挙げられます。
むろんどちらが上と言いたかった訳ではなく、作曲をする指揮者には、作曲しない指揮者と明瞭に区別できる特性があるということです。
クレンペラーの音楽の特徴は、彼の演奏が持つ「体幹」の強さ、揺るぎなさにあります。作曲家としての素養から、和声、リズム、旋律が「これ以外は考えられない、あるべき姿」として聴衆に提示される訳です。
ブラームスの4つの交響曲も、確固たる造型の中に、豊かな和声感で旋律が歌われる希有な名演奏ばかりです。
他の巨匠たちのブラームス演奏と比較して聴けば、木管楽器が非常に明瞭で力強く自己主張するクレンペラーの解釈がハッキリと分かるはずです。弦楽五部の各々も明瞭に自己主張しますから音楽は多彩な表情を帯びてきます。
その結果、よくある「団子になった響き」が皆無なのです。だからといって決して音楽の肉付きが薄くて貧相なのではありません。聴こえてくるサウンドは分厚く剛気であり、多彩な対位法を聴かせ、非常に繊細でもあります。
ドイツ=オーストリア系の指揮者が残したブラームス交響曲全集としては、トラディショナルであり、しかも非常に個性的な名演。ブラームス好きに是非薦めたい１組。優秀録音。盤はキレイです。
申し訳ありませんが値引き交渉は致しません。