モーツァルト

レクイエム K.626 [ランドン版]



マリーナ・ウレヴィッツ(S)

バルバラ・ヘルツル(Ms)

イェルク・ヘリング(T)

ハリー・ヴァン・デル・カンプ(BS)

テルツ少年合唱団

ターフェルムジーク

指揮：ブルーノ・ヴァイル

録音：1999年9月



ジュスマイヤー版を基本としながらも、【続唱】については、ジュスマイヤー（1766-1803）の補筆以前におこなわれたアイブラー（1765-1846）によるオーケストレーションの方が優れているという見解にしたがって復元するというコンセプトに基づいたランドン版は、大筋はジュスマイヤー版と変わらないものの、ディエス・イレのティンパニなどより効果的な部分が含まれているのがポイント。具体的には“怒りの日”“トゥーバ・ミルム”“恐ろしい王”“レコルダーレ”“呪われた者たち”の5曲がアイブラー、その他がモーツァルトとジュスマイヤー、フライシュテットラー（1768-1841）によるオーケストレーションということで、モーンダー版、レヴィン版、ドゥルース版のようなフーガ追加といった加筆はありません。



とはいえ、この演奏の特質はやはりブルーノ・ヴァイルによるロマン的感情移入を排した43分という快速なテンポ設定に象徴されていると考えるのが妥当。指揮者によっては60分を超えるテンポで重くひきずるようにアプローチされるこの作品ですが、ここではいかにも古典派らしい清冽なサウンドと俊敏なリズムによって緊迫した音楽づくりをおこなっており、各声部の鮮やかな交錯、透明な少年合唱の無垢な美しさなど、インパクトの強さはかなりのもの。ピリオド・アプローチに慣れた耳に実に自然に響く、大変に優れた演奏です。



美しい音楽です。超快速テンポでスイスイ進みますが決して薄味ではありません。版や速度の目新しさ以上に演奏の質の高さに感動できます。ワルターやベーム、カラヤンの指揮が頭から離れない方は、拒絶反応を示されるかもしれません。



国内盤【廃盤】帯無し　9

盤面わずかなうすいすれありますが再生問題無し



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