当方の出品オーラスを飾るのは、ヘーレンフェーンです。それなりに経験を積んだコレクターの皆様には、このユニの人気ぶりは説明不要でしょうが、とにかく競争が熾烈です。
　クラブサイトで高い金を払ってチープレプリカを買わされるのが嫌なガチ勢コレクターは来る日も来る日も海外オークションでの出品を心待ちにしますが、超人気ユニとあって、そもそも出品されることがほとんどなく、出品されたらされたで、想像を絶する競り合いに発展してしまいます。私もいったい何度競り負けたことか…。
　実際には花らしいですが、ハートにしか見えないトレードマークが人気の理由でしょう。特に、このモデルはハートだらけで、超絶人気モデルです。
　メイドイン・ヨーロッパと表記された、我らがアンブロ堂々の傑作ユニです。しかも、支給品です。
　出品もコレが最後なので、このユニの入手経緯を少し説明させてください。

　私が最も親しくしていたトルコ人コレクター兼ディーラーさんから購入したユニが発送後に紛失してしまうというトラブルがありました。彼は、業者への支払い分を差し引いて返金することで許してほしいと、ひたすら謝罪してきました。
　でも、彼はいつも頑張って私の注文に応じてくれていましたし、口座を教えたりも面倒だし、彼のミスでもないし…返金はしなくていいよ。今回は諦めるから、次からまた良いユニ売ってね。今回のことがあったからってキミへの評価は何も変わらないよと…まあ、そんな返信をしたわけです。
　感激した彼は、それ以降、私のことをブラザーと呼ぶようになったワケですが、そんなことがあってからしばらくして、彼から別のユニを買った時、ひとつプレゼントを入れておいたよと連絡がありました。それがこのユニだったのです。
　私がヘーレンフェーンのユニを欲しくてたまらないことを知っていた彼は、「コレは売り物じゃない。ボクのコレクションのひとつだけど、ブラザーに持っていてほしい。」と言うのです。
　他のユニならともかく、こんな高価なユニをもらうわけにはいかないよと伝えたのですが、「お金の問題じゃない。キミがボクにしてくれたことと同じことをお返ししただけ。」と。
　このユニだけは手元に残しておこうかと迷いましたが、人と人の愛が詰まったこのユニを、コレクターではなくなった私が持っているべきではないと考えました。どうか、どうか大切にしてください。